大門寺について
神峯山大門寺は真言宗御室派の寺院である。
宝亀二年、開成皇子(桓武天皇の兄)を開基とし、 弘法大師空海はこの地に来て、金剛・蔵王の二像を刻み、当寺の守護神とした。本尊の聖如意輪観世音菩薩、並びに四天王像は平安末期の仏像であり、国の重要文化財に指定されている。
また鎌倉中期のおよそ百年にかけて数千巻の大門寺一切経の書写が行われ、そのうち七十八巻が当寺に現存する豊臣秀次の重臣であった木村常陸介重茲は主君が高野山で自害された後を追い、大門寺で切腹した。その時の血染めの経帷子・刀・槍が保存され、墓が残されている。 また今西行として活躍した歌人、似雲法師(江戸中期)はしばしばここに逗留して歌を詠み、如意輪講式などの書写をしている。